初春の令月にして
気淑く風和ぐ。
ふと目に留まった『万葉集を歩く 犬養孝がたずねた風景』という本。
それは「梅花の宴」というタイトルの章から始まるのだが、冒頭に目が釘付けになってしまった。
「序
天平二年正月十三日に、帥老の宅に萃まりて、宴会を申べたり」
表題にも載せた、「令和」の由来となった文章のはじまりの部分。
このページを開いた日付が、新暦とは言え、
「正月十三日」、さらに言えば令和「二年」だったのだ。
天平二年は730年だから、1290年の昔と今が、一瞬にして重なったことになる。
もとは漢文であったにしても、1000年以上昔の言葉が、読み下し文にしてみればなんとなく意味が取れるのは本当にありがたい。
万葉集には(里中満智子先生のおかげで)小学生の頃から親しんでいて、
風景を見れば思い浮かぶ歌がいくつかあり、
それらに改めて触れてみようと思って手に取った本がこうである。
(ちなみに、犬養孝氏は母校の名誉教授だった上に住吉区に住んでいた時期があったそうで、著者の一人も何年分かはわからないが先輩にあたる方という、なんだか不思議なご縁だった)
こうした「偶然」をきちんと重ねていくのは、とても楽しい。
その先に待っているものは良きものに違いないから。
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